アフガニスタンでNGO国境なき医師団(以下MSF)の病院が米軍の空爆により22人死亡33人が安否不明。
オバマ大統領は誤爆を認め謝罪。
この事件について一部では陰謀説が囁かれている。
◆米軍が病院の場所を把握していないはずがない。MSFの主張によれば、病院の場所は事前にアメリカ側に知らせてあった。
誤爆されていることを通報しても30分以上空爆は終わらなかった。
これが事実となると米軍は誤爆や空爆の影響がある可能性を十分理解していたことになる。
というか、知らないはずないよね。空爆する判断を下すにはそれなりの調査をするはずだ。
◆MSFはTPPに強く反対していた。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)における医療関係の知的財産権、特に医薬品の分野で
開発業者の知的財産権が半永久的に保護される可能性があるとして強く抗議していた。
これは貧困国が安価なジェネリック薬品を入手できなくなることや、MSFが負担する医薬品の費用が大きくなることが理由。
つまり、薬品の入手費用が上がることによって活動に負担が生じるということだ。
ちょっとこの件については思うことがあるので、後で書いてみる。
まず、誤爆について。
たぶん本当に誤爆なんだとおもう。 理由はアフガン戦争やイラク戦争において
アメリカは何度も誤爆を繰り返している。
民間人を誤爆もあれば米軍に対しても誤爆という間抜けっぷりだ。
いかに標的対象外への被害について無頓着な軍隊かがよくわかる。
そして現場に送られた兵士はたまったもんじゃない。 民間人の死体や味方に殺された仲間を
何度も目撃することになる。 そりゃPTSDにもなるわな。
TPP以前の問題。
まずね、アメリカの医薬品業界はもはや医療とはかけ離れている。
患者の命に対して、どれだけの値段をつけられるか。 それこそが目的になっている。
医薬品メーカー:チューリングはHIV治療薬を13.5ドルから750ドルに55倍もの値上げをした。
まあ結果として社会的な反発を受け値上げを撤回したのだが、それにしても55倍という神経。
HIVの治療を例にすれば正規医薬品で年間120万円かかるところを
ジェネリック薬品にすることで1万6800円に下げることが可能になっている。
TPPで医薬品の知的財産権が半永久的に保護されたら・・・
MSFはこのことについて抗議していたというわけだ。
◆ところが・・・国境なき医師団がジェネリック薬品をどこから入手していたか。
主にインドだと言われている。
インドでは医薬品に対する特許が認められていなかったため、新薬であってもジェネリック薬品を製造することができた。
現在は法改正されて特許が認められたが、わずかな特許使用料を払うことで引き続き製造が可能となっている。
つまり従来通りの治療法であればTPPに関係なくコストは維持できたはず。
それほど強硬な反対姿勢をとらなくてもよかったはずなのだ。
もちろん、今後開発されるであろう新薬に対しての危機感はあるのだろうが
開発会社との個別交渉はできただろうし、各国政府レベルでの支援もできただろう。
◆アメリカの対応今回の誤爆に対しキャンベル司令官は「アフガニスタン軍の要請により、空爆を実施し、病院が誤って攻撃された」と説明。
「アフガニスタン側の要請であっても、空爆の許可はアメリカ軍内部の厳格な手続きを経てなされる」と
アメリカ側のミスを認めたうえで調査中につき結論は出ていないとした。
カーター国防長官は声明を出し、「国境なき医師団は世界各地で重要な仕事をしており
罪もない人々の命が失われたことを極めて遺憾に思う」とコメントを発表したのだが
遺憾=残念 なんとなく他人事のような論調な気がする。
たぶんだけど、空爆要請から空爆命令 作戦案からその伝達がゆるゆるなんだとおもうよ。
なぜならばアメリカ国外の出来事であり、自分の家族が空爆地域にいたらこんなことは起きない。
空爆命令までも至らないだろうね。
誤爆で現地人が犠牲になっても、絶対に民間人だったとは認めないのが通例。
今回は国境なき医師団という西側諸国が中心の組織なので大問題になっている。
過去にもカナダ軍がエスコート中の記者団に誤爆した事件があり、同じように大問題になった。
アフガンの子供が死のうがお年寄りが死のうが、ここまでの騒ぎにはならない。
そういったアメリカの体質こそが問題の本質であり、終わらない対立の原因。
その背景にある巨大企業の利権が陰謀説の源なんだろうね。
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- 2015/10/11(日) 21:08:21|
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